
令和7年3月(4月徴収分)から、健康保険料と厚生年金保険料の料率が改定されます。会社員にとっては、給与から控除される社会保険料が変わる重要なタイミングです。しかし、「そもそも保険料はどうやって決まるの?」「等級って何?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。
本記事では、健康保険料・厚生年金保険料の計算方法から料率の変更点、徴収のタイミング、具体的な計算例まで、給与明細の仕組みを詳しく解説します。
📌 本記事で扱う内容は「協会けんぽ」の保険料についてです。組合健保の場合は、別途加入している健康保険組合の料率をご確認ください。
目次
1. 健康保険料・厚生年金保険料の計算方法
健康保険料
健康保険料は、「標準報酬月額」×「健康保険料率」で計算されます。標準報酬月額は、給与額を一定の区分(等級)に振り分けたものです。さらに、健康保険料は会社と従業員で折半するため、給与天引きされるのは健康保険料の半額となります。
40歳未満と40歳以上(介護保険適用)の人で保険料が異なるため注意が必要です。
📌 計算式
健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率 ÷ 2
厚生年金保険料
厚生年金保険料も、同様に「標準報酬月額」×「厚生年金保険料率」で決まります。
📌 計算式
厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 ÷ 2
2. 令和7年3月の料率改定と給与への影響
令和7年3月の改定では、健康保険料・厚生年金保険料の料率が変更される可能性があります。(具体的な変更率は協会けんぽの公式発表を確認してください。)
以下、例として標準報酬月額が30万円の場合の保険料額を比較します。
📌 前提条件
標準報酬月額:30万円
事業所の所在地:東京都
被保険者の年齢:40~64歳
項目 | 改定前 | 改定後 |
健康保険料(9.98%→9.91%) | 14,970円 | 14,865円 |
介護保険料 (1.6%→1.59%) | 2,400円 | 2,385円 |
厚生年金保険料 (18.3%→変更なし) | 27,450円 | 27,450円 |
控除合計 (従業員負担分) | 44,820円 | 44,700円 |
3. 保険料の徴収タイミング(翌月徴収・当月徴収)
原則:翌月徴収
健康保険・厚生年金保険料は、給与支給月の翌月に控除するのが原則です。たとえば、3月分の保険料は4月の給与から控除されます。
例外:当月徴収(労使協定がある場合)
会社が労使協定を結んでいる場合は、当月徴収が可能です。この場合、3月分の保険料を3月の給与から控除する形になります。
具体例:給与支払い日ごとの徴収タイミング
給与支払い日 | 原則(翌月徴収) | 例外(当月徴収) |
3月31日支払い | 4月の給与で3月分を控除 | 3月の給与で3月分を控除 |
4. 標準報酬月額と等級の決まり方
(1) 定時決定(年1回)
4~6月の給与の平均をもとに、9月から翌年8月までの標準報酬月額が決定します。
その間、給与が大きく変わらなければ等級は変わりません。
(2) 随時改定(給与変動時)
昇給や降給などで給与(固定的賃金)が2等級以上変動した場合、3か月経過後に標準報酬月額を変更するルールです。残業代等の変動的な給与の増減は対象外です。
例)4月に昇給 → 7月支給の給与から変更適用
5. 給与からの天引きの具体例(所得税まで計算)
以下、標準報酬月額30万円の場合の給与天引き後の手取り額を計算します。
📌 前提条件
基本給:30万円
社会保険料(健康保険+介護保険+厚生年金):44,700円
雇用保険料(0.6%):1,800円
所得税(概算):6,640円
項目 | 金額 |
支給額(基本給) | 300,000円 |
社会保険料 | -44,700円 |
雇用保険料 | -1,800円 |
所得税 | -6,640円 |
手取り額 | 246,860円 |
6. まとめと相談窓口
令和7年3月の保険料率改定により、給与の手取り額が変動する可能性があります。企業担当者は、新しい保険料率を正しく適用し、従業員に周知することが重要です。従業員側も、自分の給与明細を確認し、正しい控除額になっているかチェックしましょう。
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