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執筆者の写真望月 史郎

法人税を見据えた事業計画の立て方 — 3月決算企業は10月がカギ


法人税は企業の収益やキャッシュフローに直接影響を与えるため、事業計画を立てる際には忘れてはいけない要素です。事業計画を策定する際には、まず企業としての成長ビジョンと企業価値をどのように高めたいのかを経営陣が明確にしておくことが重要です。このような上位の方針が定まった上で、具体的な売上計画や人員計画、設備計画を詳細に詰めるべきです。もし法人税を考慮しないで事業計画を作り始めると、キャッシュフローの見通しが甘くなり、結果として資金繰りに影響を及ぼすリスクが高まります。基本的ですが、税務に関しては分かりづらいことであるため、忘れがちになってしまいます。したがって、事業計画の策定段階で、利益予測と同時に税負担の最適化を考慮することが不可欠です。

たとえば、設備計画において、新たな設備投資や研究開発に対する税優遇制度を活用することで、法人税の負担を軽減し、手元に残る資金を最大化することができます。しかし、事前に税優遇制度を計画に組み込まないと、予想通りの効果が得られない可能性があります。また、設備投資は長期的な観点から実施される重要な事項になります。このように、法人税はビジネスの成長や資金管理に大きく影響するため、適切な節税対策を講じながら、長期的な成長を支える事業計画を策定することが求められます。

事業計画は10月からスタート

3月決算の企業にとって、翌期の事業計画を立て始める最適なタイミングは10月です。この時期に計画をスタートする理由は、当期の実績がある程度見えてきており、今後の事業展開を見通すためのデータが揃うからです。

特に、第2四半期決算が終わる10月以降は、売上やコストの傾向がはっきりしてくるため、現実的な事業目標を設定しやすくなります。また、10月から12月にかけて各部門が予算を策定し、年明けには全体の事業計画を確定させる流れが一般的です。

このタイミングで計画をスタートすることで、翌期の事業に向けて十分な準備期間を確保し、スムーズな経営運営を実現することが可能となります。

事業計画における財務計画の重要性

事業計画の中でも、特に重要なのが財務計画です。財務計画は、単なるコスト管理や資金調達の計画にとどまらず、企業全体の成長戦略と企業価値をいかにして最大化するかを考慮したものにする必要があります。これを最初に定義することで、その後の具体的な売上や設備、人員に関する詳細な計画が戦略的に整合する形で進められます。

財務計画は、以下の要素で構成されています。

  1. 資本政策:自己資本と他人資本のバランスを最適化し、健全な財務体質を維持するための計画です。資本調達方法や資本コストを考慮し、企業価値を高めるための長期的な成長をサポートします。

  2. 自己資本と他人資本のバランス:借入金や株式発行などによる他人資本と、内部留保などの自己資本のバランスを最適化することが重要です。企業価値の向上には、持続可能な資本構造が不可欠です。

  3. 税金計画:法人税の予測と節税対策を含む計画で、キャッシュフロー管理にも直結します。税率や税制の変化に対応し、企業の成長を妨げないよう、常に見直しを行います。

  4. 株主還元政策や内部留保の計画:配当金の分配率を決定し、株主への還元と企業内部での再投資のバランスを調整します。この計画が、企業価値の持続的な向上に寄与します。

まとめ

法人税は事業計画において重要な役割を果たしますが、その前提として、まずは企業としての成長ビジョンや企業価値の向上をどのように実現するかを経営陣が明確にし、それを基に各部門の具体的な計画を策定することが成功のカギとなります。財務計画では、資本構造、税金対策、配当政策をしっかりと設計し、長期的な成長を支える事業計画を構築することが求められます。

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