記事の目次 1.相続税評価額とは? 2.相続税の計算ステップ
3.評価方法の種類
相続税は、被相続人が遺した財産を相続した際に課される税金です。 しかし、その計算は非常に複雑で、多岐にわたる財産を適切に評価する必要があります。 評価額を誤ると、税金が過少申告となったり、逆に過大申告してしまう可能性があり、正確な計算が求められます。
相続税の計算に必要な「相続税評価額」について、その基本的な考え方や計算ステップ、主な財産ごとの評価方法について解説します。
相続税の基礎知識を学びたい方に役立つ内容となっていますので、ぜひご覧ください。
相続税評価額とは?
相続税評価額とは、相続税や贈与税を申告する際の基準となる評価額です。 これは、固定資産税評価額のように行政が計算して通知するものではなく、納税者自身が算出する必要があります。 原則として相続税評価額は時価で評価しますが、多様な財産の時価を相続税の申告期限までに算出することは容易ではありません。 そのため、国税庁は財産評価に関する基準として「財産評価基本通達」を公表しており、この基準に基づいて財産の価額を算出します。
相続税の計算ステップ
相続税を計算するには、以下の4つのステップを順に進めていきます。
相続税評価額は、ステップ1で正味の遺産総額を算出する際に必要な財産の評価額を指します。
STEP1:正味の遺産総額を把握
まず、被相続人が遺した財産の価額を評価し、そこから債務や葬式費用を差し引いて、正味の遺産総額を算出します。
STEP2:基礎控除を差し引く
次に、正味の遺産総額から基礎控除額を差し引き、課税対象となる遺産の金額を求めます。
STEP3:相続税の総額を計算
課税対象となる遺産に基づき、相続税の総額を計算します。
STEP4:各相続人の相続税額を計算
上記の「相続税の総額を計算」で計算した相続税の総額を、財産を取得した各人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した各人ごとの税額を計算します。
評価方法の種類
相続税の申告を行う際には、財産の種類ごとに適切な評価方法を用いて評価額を行う算出必要があります。 以下に、主な相続財産の評価方法をまとめました。 1. 土地の評価
宅地
路線価方式:路線価 × 補正率・加算率 × 地積
倍率方式:固定資産税評価額 × 倍率
農地
固定資産税評価額 × 倍率
借地権
路線価方式または倍率方式の評価額 × 借地権割合
2. 建物の評価
自家屋:固定資産税評価額×1.0
貸家:自家屋の金額 × (1-30% × 賃貸割合)
3. 上場株式の評価
次の4つの金額のうち、最も安い価格を採用します。
相続開始日の最終価格
相続開始月の最終価格の月平均額
相続開始月前月の最終価格の月平均額
相続開始月前々月の最終価格の月平均額
4. 生命保険の評価
受取金額 - 生命保険金非金銭金額(500万円 × 法定相続人の数)
5. 退職手当金の評価
受取金額 - 退職手当金非金銭金額(500万円 × 法定相続人の数)
6. 預貯金の評価
元金 + 既経過利息の手取額
7. 公社債の評価
券面額100円当たりの評価額 + 既経過利息の手取額
8. 貸付信託の評価
元金 + 経過経過手取額 - 買取割引料
9. ゴルフ会員権の評価
取引相場 × 0.7(取引相場があり預託金がない場合)
10. 書画・骨董品の評価
専門家による鑑定額等
▼国税庁HPを参照▼
No.4152 相続税の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
まとめ
相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するための重要な基準であり、多様な財産を公平かつ適切に評価するために「財産評価基本通達」に基づいて算出されます。
財産ごとの評価方法は、土地や建物、株式、生命保険金など、財産の種類や性質に応じた基準が設けられており、それぞれの基準を適用することで正確な相続税評価額を求めることができます。
相続税の申告や評価額の算出は複雑であるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。 この記事で紹介した基礎知識を参考に、適切に相続税の手続きを進めていただければ幸いです。
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